はじめに

宿泊施設の集客チャネルとして欠かせないOTA(オンライン旅行代理店)。日本国内には「楽天トラベル」「じゃらん」「一休.com」などの国内OTAがある一方、「Booking.com」「Agoda」「Expedia」など海外OTAも広く利用されています。
それぞれのOTAには異なるユーザー層や機能、運用特性があり、自施設にとってどれが最適かを見極めることが、予約の最大化と運用効率の両立につながります。
この記事では、国内OTAと海外OTAの違いを整理し、施設タイプ別に向き・不向きを解説。上手な使い分け方や併用戦略についても紹介します。
国内OTAの特徴と向いている施設
主な国内OTA
- 楽天トラベル
- じゃらんnet
- 一休.com
- RELUX
- Yahoo!トラベル
特徴
- 国内ユーザーに強い(特に中高年・ファミリー)
- クーポン・ポイント施策が豊富
- 地方観光や温泉旅館、ビジネスホテルとの相性が良い
- 管理画面が日本語で使いやすい
- 地域クーポンや自治体連携が多い
向いている施設
- 地方の観光地や温泉旅館
- ファミリー向け、グループ旅行対応施設
- 平日割引や直前割など柔軟な料金設計ができる宿
- 日本語対応が中心で、海外顧客対応にリソースを割きづらい施設
海外OTAの特徴と向いている施設
主な海外OTA
- Booking.com(オランダ)
- Agoda(シンガポール)
- Expedia(アメリカ)
- Airbnb(アメリカ)
- Trip.com(中国)
特徴
- 訪日外国人(インバウンド)に強い
- 多言語対応、自動翻訳機能あり
- スマートフォン予約やアプリ経由の予約が多い
- 通貨・言語を自動で最適化する設計
- 写真・レビュー重視のユーザーが多い
向いている施設
- 都市部や空港近くのホテル・民泊
- 外国人観光客の受け入れ体制が整っている宿
- 多言語表記・非対面チェックインなどが導入されている施設
- 洗練された内装や写真映えするデザインの宿
向いていない施設・注意点
国内OTAに向かないケース
- インバウンド需要を狙っているのに英語情報がない
- OTA以外の自社予約比率が高く、手数料をかけたくない
海外OTAに向かないケース
- 英語表記や多言語対応が不十分
- 清掃・フロント体制が24時間でない(急な問い合わせに弱い)
- 外国人対応ノウハウが少ない
併用する際の考え方と戦略
1. ターゲット別にOTAを使い分ける
- 国内観光需要(週末旅行、子連れ)→ 楽天・じゃらん
- 記念日やハイクラス需要 → 一休・RELUX
- インバウンド → Booking・Agoda・Expedia
2. OTAごとの強みを活かす
- セール・ポイント施策 → 楽天・じゃらん
- 高単価プラン → 一休・RELUX
- 世界的な認知と露出 → Booking・Agoda
3. 在庫・価格戦略の最適化
- 同一在庫を複数OTAで出す場合は、価格整合性を保つ
- チャネルマネージャーの導入で在庫連携を効率化
おわりに
国内OTAと海外OTAは、どちらか一方ではなく「どちらをどう活かすか」の視点で考えることが大切です。
宿泊施設の立地、ターゲット、運用体制によって最適な組み合わせは異なります。自施設に合ったOTAの使い方を見つけ、予約の取りこぼしを防ぎながら、無理のない運用で売上を最大化していきましょう。
書いた人

株式会社Arch
代表取締役 柴田敬介
1985年兵庫県生まれ。京都工芸繊維大学・造形工学科卒。建築専攻。
新卒でSMBC日興証券株式会社に入社。コンサルタントとして勤務。社内表彰を多数獲得し最年少管理職(当時)に。5年の勤務の後に起業。
2013年、株式会社XS創業。代表取締役就任。Web開発、地方創生ビジネスなどを展開。地方創生では、全国の道の駅グルメNo.1を決定するグルメグランプリを10万人規模で開催。当事業を讀賣テレビ放送株式会社に事業譲渡。
2017年、民泊事業を行う株式会社グランドゥースをAPAMAN株式会社とジョイントベンチャーにて創業。代表取締役就任。その後丸紅株式会社から出資を受け同社の持分法適用会社となる。創業3年で売上13億円、1000以上の施設を運営し、国内最大規模の民泊運営会社となる。AirbnbのBest Contributor Awardを獲得。東証への株式上場を控えていたものの、コロナウィルス蔓延に伴い事業縮小を余儀なくされる。
2023年、これまで培ってきたビジネス開発、ブランディング、Webデザイン、広告などの知見を元に、宿泊施設のブランディング、運営事業を行う当社を立ち上げ、代表取締役就任。