
2025年は民泊規制が明確に「強化」へ。大阪市が特区民泊の新規申請を停止する方針を示し(9/18報道)、東京23区でも営業日数・平日稼働の制限が加速。さらに2025年4月の建築基準法改正が違法運営への取締りを厳格化しています。本記事では、直近の公式発表・報道をもとに要点を整理し、宿泊事業者が今すぐ取るべき実務対応をチェックリストで示します。
1. 大阪市:特区民泊の新規申請「停止」方針
- 大阪市・横山英幸市長が特区民泊の新規受け付け停止を検討と言及。
※9月30日に方向性公表予定との報道。(関西テレビの報道) - 2026年半ばごろに新規受付を停止する方向で調整との報道(毎日新聞)。
- 現行の制度・申請手引きは大阪市公式ページで公開中(ガイドライン/申請様式)。
ポイント:最終決定までは正式施行前の“周知期間”が設けられる見通し。
駆け込み申請の集中と審査混雑が想定されるため、スケジュール後ろ倒しのリスク管理が必須です。
2. 東京23区:上乗せ規制の最新動向
2-1. 豊島区:年間84日(夏休み・冬休み限定)案
豊島区は「区内全域」×「夏休み(7/1–8/31)・冬休み(12/20–1/10)」の年間84日に営業期間を限定する条例改正案を公表。既存施設への適用方針が示され、区域(住居専用地域・文教地区)でのより厳しい制限も併記されています(区資料)。 報道・解説も相次いでいます。
2-2. 墨田区:平日(月正午〜金正午)営業の原則禁止案
墨田区は平日原則停止(常駐等の厳格な管理体制がある場合は例外)の骨子案を示し、届出情報の公表、事前説明会の義務化など手続・運営ルールの強化を進めています。
3. 2025年4月の建築基準法改正:民泊への影響
- 違法民泊への罰則強化・立入検査の厳格化(行政処分の迅速化)
- 一部で小規模用途変更の簡素化や4号特例縮小、省エネ基準適合義務化など構造・設備面の要件整理
運営実務の要点:「罰則強化」と「構造・省エネ要件対応」が並走。
設計・改修時は建築士/消防と早期連携し、用途地域・避難経路・防火・採光換気・騒音等の適合性を事前チェック。
4. いま必要な実務チェックリスト(保存版)
- 制度形態の棚卸し:特区民泊/住宅宿泊事業(新法)/旅館業(簡易宿所等)のどれで運営するかを再定義。大阪市の方針確定に備えて制度切替のシナリオも用意。
- スケジュール管理:大阪市の周知期間・停止時期(方針公表:9/30予定、停止は26年半ば見込み)に合わせ、改修・申請・近隣説明を逆算。
- 近隣合意形成:事前説明会・連絡窓口・マナー掲示・多言語ハウスルール。苦情即応の体制(常駐/オンコール)を明文化し、記録化。
- 建築・消防適合:改修前に建築基準法・消防法の適合性を点検。用途変更・避難・防火・音環境・ゴミ保管動線を再チェック。
- 営業時間ポリシー:豊島区や墨田区の期間制限・平日制限リスクを想定し、価格・販路・稼働の再設計(週末集中・ミニマムステイ、清掃体制の再編)。
- 財務シミュレーション:稼働日数・平日停止・手続コスト増を織り込み、最悪ケース(認定不可/更新不可)でも資金繰りが持つか試算。
- 代替策の検討:用途地域・建物仕様が適合するなら旅館業(簡易宿所等)への転換や、ビルイン型のフロント常駐モデル等を検討。
5. Archの支援メニュー(例)
- 制度・条例モニタリング(大阪市の方針確定・都区の改正速報を反映)
- 申請ドキュメント一式(図面・運営管理計画・近隣説明資料・多言語ハウスルール)
- 運営ガバナンス構築(苦情即応SOP/夜間対応/清掃・ゴミ動線マニュアル)
- 用途・消防適合の事前診断(建築・消防の専門家とチーム対応)
- ブランディング×直販強化(自社予約率UPの価格・販路・Web/SEO・MEO設計)
ご相談はお気軽に。現場の実装まで伴走します。
参考・出典
書いた人

株式会社Arch
代表取締役 柴田敬介
1985年兵庫県生まれ。京都工芸繊維大学・造形工学科卒。建築専攻。
新卒でSMBC日興証券株式会社に入社。コンサルタントとして勤務。社内表彰を多数獲得し最年少管理職(当時)に。5年の勤務の後に起業。
2013年、株式会社XS創業。代表取締役就任。Web開発、地方創生ビジネスなどを展開。地方創生では、全国の道の駅グルメNo.1を決定するグルメグランプリを10万人規模で開催。当事業を讀賣テレビ放送株式会社に事業譲渡。
2017年、民泊事業を行う株式会社グランドゥースをAPAMAN株式会社とジョイントベンチャーにて創業。代表取締役就任。その後丸紅株式会社から出資を受け同社の持分法適用会社となる。創業3年で売上13億円、1000以上の施設を運営し、国内最大規模の民泊運営会社となる。AirbnbのBest Contributor Awardを獲得。東証への株式上場を控えていたものの、コロナウィルス蔓延に伴い事業縮小を余儀なくされる。
2023年、これまで培ってきたビジネス開発、ブランディング、Webデザイン、広告などの知見を元に、宿泊施設のブランディング、運営事業を行う当社を立ち上げ、代表取締役就任。