オリンピック・万博後の宿泊需要をどう読み解くか｜ホテル経営者が今すべき戦略転換

2025年の大阪・関西万博を目前に、宿泊業界は再び追い風を感じています。オリンピック以降、観光需要の回復とともに国内外からの投資や開業も活発化しました。
しかし、こうした大型イベントによる需要は一時的なブーストに過ぎません。
本稿では、万博後を見据え、ホテル経営者が今から備えるべき「戦略転換」のポイントを解説します。

① イベント依存型から脱却し、長期的な需要構造を読む

オリンピックや万博の開催期間中は、一時的に観光客が急増し、稼働率も上がります。しかし、イベントが終わるとその反動で稼働率が下がり、価格競争が激化するケースがほとんどです。

一方で、国内市場では「短期旅行」「地方滞在」「体験型宿泊」など観光の多様化が進んでいます。
特に、リトリート・ワーケーション・グループ滞在など、“目的を持った宿泊”へのニーズは今後も増加傾向にあります。
これからのホテル経営は、イベント需要ではなく、中長期的なライフスタイル需要を見据えた運営へとシフトする必要があります。

② 価格競争ではなく「ブランド競争」へ

イベント後の市場では、客室単価を下げて稼働率を維持しようとする施設が増えます。しかし、値下げによる競争は長続きせず、ブランド力を損なうリスクも高いものです。

これからの時代は、価格ではなく体験価値で選ばれる宿が生き残ります。ホテルの世界観やストーリー、デザイン、空間演出、サービス体験──それらを一貫して伝えることがブランディングの核心です。

Archでは、宿泊施設のコンセプト設計から、世界観を反映したホテルホームページ制作までを一貫支援し、自社予約率50％超・年間売上4000万円以上の実績を生み出しています。

③ 自社サイトを中心に「集客導線」を再構築する

万博後の宿泊需要は、OTA任せでは維持できません。じゃらんや楽天トラベルなどのOTA手数料は平均15％前後。年商1億円のホテルであれば年間1500万円、10億円なら1.5億円が外部コストとして失われています。

今後は、公式サイト経由の予約比率を高める仕組みづくりが鍵となります。
公式サイト限定特典（割引・特別プラン・会員ステイなど）を設け、SNSやLINEを活用してリピーターを育てましょう。
こうした「直接予約の仕組み化」に早く着手したホテルほど、イベント後の反動を最小限に抑えることができます。

④ 地域と共にブランドを育てる時代へ

ポスト万博時代の宿泊業は、地域との共創がカギになります。観光の目的地が「都市」から「体験」へと移り変わる中で、地元の食・文化・アクティビティを取り込み、滞在全体を“旅のストーリー”としてデザインすることが求められています。

たとえば、地元事業者とのコラボ企画、季節限定プラン、地域イベントとの連携など。ホテルが地域に根ざした価値を発信することで、「選ばれる理由」が明確なブランドを築くことができます。

⑤ 今すぐ始めるべき3つの戦略転換

集客の多様化： OTA依存から脱却し、公式サイト・SNS・MEOを組み合わせる
ブランド価値の再設計： 体験・デザイン・ストーリーを一貫して打ち出す
データと顧客関係の蓄積： GA4・LINE・CRMで顧客接点を資産化する

この3点を早期に整えることで、イベント後も安定した売上を維持できる強い宿へと成長します。

まとめ

オリンピック・万博後の宿泊需要は、一過性の波ではなく、本質的な選ばれ方への転換期です。
イベント後も予約が入り続けるホテルには、明確なブランド、最適化された導線、そしてリピーターを生む仕組みがあります。

Archは、宿泊施設の運営とホテルホームページ制作の両方を手掛けてきた経験をもとに、広告費を抑えながら稼働率を高める戦略設計をサポートしています。

イベントが終わってから動くのでは遅い──。
今こそ、“持続するホテル経営”への戦略転換を始める時です。

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書いた人

株式会社Arch
代表取締役柴田敬介

1985年兵庫県生まれ。京都工芸繊維大学・造形工学科卒。建築専攻。
新卒でSMBC日興証券株式会社に入社。コンサルタントとして勤務。社内表彰を多数獲得し最年少管理職（当時）に。5年の勤務の後に起業。
2013年、株式会社XS創業。代表取締役就任。Web開発、地方創生ビジネスなどを展開。地方創生では、全国の道の駅グルメNo.1を決定するグルメグランプリを10万人規模で開催。当事業を讀賣テレビ放送株式会社に事業譲渡。
2017年、民泊事業を行う株式会社グランドゥースをAPAMAN株式会社とジョイントベンチャーにて創業。代表取締役就任。その後丸紅株式会社から出資を受け同社の持分法適用会社となる。創業3年で売上13億円、1000以上の施設を運営し、国内最大規模の民泊運営会社となる。AirbnbのBest Contributor Awardを獲得。東証への株式上場を控えていたものの、コロナウィルス蔓延に伴い事業縮小を余儀なくされる。
2023年、これまで培ってきたビジネス開発、ブランディング、Webデザイン、広告などの知見を元に、宿泊施設のブランディング、運営事業を行う当社を立ち上げ、代表取締役就任。