
競合が増え、値下げ合戦に巻き込まれがちなホテル運営。ですが、目指すべきはその逆です。 「価格を上げても選ばれるホテル」をつくること。鍵になるのが“ブランディング”です。 本稿では、単価アップを実現するための実践的な視点と手順を、宿泊施設支配人・オーナー向けにまとめました。
1. 「高い」ではなく「納得できる」価格へ
単価アップの本質は価格の正当化です。立地やハードだけでなく、空気感・接客・香り・音楽・コピー表現など細部までブランドとして一貫させることで、 宿泊者は「この価格なら納得」と感じます。価格に見合う物語(コンテクスト)があると、 比較サイトでの横並びの評価から脱し、「ここに泊まりたい」という指名来館が増えます。
2. 世界観を統一するビジュアル設計

ロゴ・内装・写真・Webサイト・パンフレット・SNSのトーンがバラつくと、価格に対する信頼感が揺らぎます。 逆に、デザインの統一は期待値をコントロールし、予約前の離脱を減らします。
- 写真の刷新:客室・水回り・朝食・周辺体験を“泊まる理由”が伝わる構図で撮影
- コピーの言語統一:コンセプトワード、トーン&マナーをドキュメント化
- Web導線最適化:主要CTA(予約)をファーストビューで明確化、料金表は見やすく
3. 口コミが語るブランド:運営で完成させる

ブランディングは施策で始まり、運営で完成します。清掃品質、チェックイン体験、朝食の一貫性が欠けるとレビューで失点し、単価を上げづらくなります。
KPIは「稼働率」だけでなく、★4.5以上の維持やクレーム率、返信速度(SLA)もモニタリングしましょう。
- レビューのボトルネック(騒音/匂い/照明/導線)を月次で是正
- テンプレ+人肌のある返信で、ネガレビューを学習資産化
- 朝食やアメニティの“看板価値”を育て、写真・SNSと連動
4. ストーリーを伝える発信設計(Web/SNS)

予約直前の決め手は、スペックではなく「ここで過ごす理由」です。 Instagramでは滞在の物語、Webでは写真とコピーを連動させ、滞在イメージを先回りして提示します。
- Instagram:滞在シーン(朝の光、夜のバー、周辺散策)を定期投稿
- Web特設:コンセプト・客室・食・周辺体験を1ページで一気見せ
- ファネル設計:SNS → 公式サイト → 予約ボタンの距離を最短化
5. 単価アップの実行ステップ
- 現状分析:ADR/RevPAR、チャネル別比率、レビュー分析、写真・導線の棚卸し
- ブランド定義:約束する体験・世界観・価格帯・主要ペルソナを1枚に集約
- ビジュアル刷新:撮影・コピー・Web改修(予約導線/料金表/特集ページ)
- 運営チューニング:SOP整備、清掃チェックリスト、レビュー運用
- 価格戦略:繁閑に応じたダイナミックプライシング、特別プラン(記念日/連泊/ワーケーション)
- 自社予約強化:特典設計(レイトアウト/ドリンク)、OTA→公式誘導の同梱物・館内POP
ポイント:「写真」「レビュー」「予約導線」の3点が揃うと、単価は上げやすくなります。 いずれか1つでも欠けると歩留まりが悪化し、価格を上げにくくなります。
Archの支援範囲
株式会社Archは、宿泊施設に強いブランディング/WEB制作/運営支援をワンストップで提供します。
1000施設超の運営経験に基づき、「ブランディングは運営で完成する」という前提で、 世界観設計から清掃・レビュー運用・プライシングまで伴走します。
- ブランド/コンセプト設計・ネーミング・VI
- 写真・コピー・Web(予約導線/SEO/MEO)
- レビュー運用・SOP整備・スタッフ教育
- 価格戦略・販路最適化(OTA/自社予約)
単価アップの診断や改善提案をご希望の方は、下記よりお気軽にご相談ください。
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書いた人

株式会社Arch
代表取締役 柴田敬介
1985年兵庫県生まれ。京都工芸繊維大学・造形工学科卒。建築専攻。
新卒でSMBC日興証券株式会社に入社。コンサルタントとして勤務。社内表彰を多数獲得し最年少管理職(当時)に。5年の勤務の後に起業。
2013年、株式会社XS創業。代表取締役就任。Web開発、地方創生ビジネスなどを展開。地方創生では、全国の道の駅グルメNo.1を決定するグルメグランプリを10万人規模で開催。当事業を讀賣テレビ放送株式会社に事業譲渡。
2017年、民泊事業を行う株式会社グランドゥースをAPAMAN株式会社とジョイントベンチャーにて創業。代表取締役就任。その後丸紅株式会社から出資を受け同社の持分法適用会社となる。創業3年で売上13億円、1000以上の施設を運営し、国内最大規模の民泊運営会社となる。AirbnbのBest Contributor Awardを獲得。東証への株式上場を控えていたものの、コロナウィルス蔓延に伴い事業縮小を余儀なくされる。
2023年、これまで培ってきたビジネス開発、ブランディング、Webデザイン、広告などの知見を元に、宿泊施設のブランディング、運営事業を行う当社を立ち上げ、代表取締役就任。