Agodaの有効な活用方法|販売力と価格戦略を両立させる運用術

Category: Hotel Management | Business
Author: Shibata
Date: 2025.10.17

agoda ロゴ

はじめに:Agodaをどう活かすか

Agoda(アゴダ)は、アジア圏を中心に圧倒的な販売力を持つOTA(オンライン旅行代理店)です。特に訪日観光客、東南アジア・オセアニアからの旅行者へのリーチに強く、インバウンド対策の要として多くの宿泊施設が活用しています。

一方で、「勝手に販売されている」「想定より安い価格で出ている」といったトラブルも報告されています。Agodaは使い方を誤ると、ブランドを毀損し、利益率を下げるリスクがある一方、うまくコントロールすれば新規顧客を獲得しつつ収益を最大化できる強力なツールにもなります。

Agodaにおける主な課題とリスク

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1. 勝手な販売・レートパリティ問題

Agodaは他OTAとは異なり、卸業者(ホールセラー)やグローバル流通網を通じて在庫を仕入れる仕組みを持ちます。そのため、施設側が直接契約していなくても、他の流通経路経由で勝手に販売されてしまうケースがあります。

さらに、施設が設定した販売価格(BAR)を下回る割引をAgodaが自動適用するケースも。たとえば「シークレットディール」や「アプリ限定クーポン」などが自動的に加算され、他サイトより安く表示されてしまうことがあります。これはレートパリティ(価格統一)違反と見なされるリスクを伴います。

2. 在庫管理・オーバーセリングのリスク

Agodaは自社販売枠の他、複数の外部パートナー経由で在庫を扱うため、販売経路が複雑化します。結果として、施設が把握していない在庫が販売され、ダブルブッキングが発生するリスクがあります。特に繁忙期や特別プラン販売時は注意が必要です。

3. 割引競争による利益圧迫

Agodaはクーポン・ポイント還元・即時割引を多用し、プラットフォーム全体で「最安値表示」を演出します。これにより価格競争が激化し、他チャネルや自社サイトの利益を圧迫する可能性があります。

4. ブランドコントロールの低下

OTA上では、施設ブランドよりもプラットフォームが前面に出る傾向があります。訴求テキストや画像の自由度が低く、施設の世界観や体験価値を十分に伝えられないことがあります。

Agodaを有効に使うための戦略

戦略①:価格設計と差別化

Agodaでは「同一価格での最安値表示」よりも、「Agoda限定の付加価値」を設計する方が有効です。

  • Agoda専用プランを用意(例:無料朝食、レイトチェックアウト特典)
  • 他OTAとは異なる滞在体験やパッケージ構成にする
  • 特定シーズンのみAgoda限定割引を実施し、価格差を一時的に許容する
  • 長期滞在割・早期予約割をAgoda専用プランとして打ち出す

このように差別化することで、単なる「値下げ」ではなく「販売チャネル最適化」として利益構造を維持できます。

戦略②:在庫とチャネル管理の最適化

Agodaを利用する際には、Channel Manager(チャネルマネージャー)を導入し、在庫・料金・制限条件を一元管理することが重要です。これにより、他OTAや自社予約サイトとの価格整合性を保ち、オーバーセリングを防ぐことができます。

また、Agoda向け在庫を別枠で設定し、販売実績や需要に応じて柔軟に調整する運用が理想的です。

戦略③:プロモーション・広告の活用

Agoda Partner Hubでは、宿泊施設向けに「メディアソリューション」「キャンペーン参加」「スポンサー枠広告」など複数の販促手段が用意されています。

  • 季節限定セールやイベントプロモーションに参加
  • 特集ページ・おすすめ宿に掲載されるための基準を確認
  • 予約率を上げることで「おすすめ宿」や「高評価」ラベルを獲得し、表示順位を上げる

Agodaの販売力は強大です。うまく利用すれば、インバウンド市場での新規顧客流入に大きく貢献します。

戦略④:口コミとレビュー評価を重視

Agoda内でのレビュー評価は、検索順位とクリック率の両方に影響します。評価点を維持するには以下を徹底しましょう。

  • 滞在後フォローメールでレビュー投稿を促す
  • 低評価には迅速・丁寧に返信し、改善意識を示す
  • 口コミ件数を増やすことで「信頼される宿」指標を形成する

戦略⑤:OTAから自社予約への導線設計

Agodaは新規顧客獲得に強い一方、リピーター戦略には不向きです。そのため、OTAを入口、自社サイトを本丸とする運用が理想です。

  1. Agodaで新規顧客を獲得
  2. チェックイン時に公式サイト・LINE公式アカウントを案内
  3. 再訪者には「自社予約限定特典」を提供し、自社経由へ誘導

こうした導線設計により、Agodaの販売力を最大限に生かしつつ、最終的には自社予約比率を高めて利益率を改善できます。

実践ヒントと運用例

施策具体例
限定割引Agoda限定で「5%OFF+朝食付き」プランを短期間実施
季節訴求桜・紅葉シーズンに合わせた写真やプランを強化
体験型プラン滞在+地域アクティビティ(焚き火・サウナ・ワークショップ等)をセット
データ分析Agoda Partner Hubのインサイトで訪問国・滞在傾向を分析

まとめ:Agodaを“敵”ではなく“戦略パートナー”に

Agodaは時に複雑で、価格制御の難しいOTAですが、インバウンド顧客においては非常に強い販売力を持っています。重要なのは、無批判に使うのではなく、自社戦略に合わせて設計・制御することです。

適切な価格管理とチャネル運用を行い、Agodaを「新規顧客を呼び込むためのエンジン」と位置づけることで、施設全体の収益構造を最適化できます。

OTAで獲得 → 体験で満足 → 自社サイトで再訪。このサイクルを設計できた宿泊施設こそが、Agoda時代に最も強いブランドとなるでしょう。

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