Airbnbがホスト手数料を15.5%へ変更へ|宿泊施設運営者が今すぐ取るべき3つの対応

Category: Branding | Hotel Management | Business
Author: Shibata
Date: 2025.11.04

Airbnbの手数料変更

Airbnbが2025年Q4(10月〜12月)に、ホスト手数料を15.5%へ引き上げる方針を発表しました。従来は「ホストが約3%」「ゲストが約14〜16%」を負担する分割モデルでしたが、今後はホストが全額負担する「単一手数料モデル」に統一されます。

この変更は、Airbnbのプラットフォーム上で活動するすべてのホストに影響を及ぼす大きなアップデートです。特に民泊運営者・ヴィラオーナー・ホテル事業者にとっては、価格設計・収益構造・チャネル戦略の見直しが不可避です。

1. Airbnb新手数料モデルの概要

これまでAirbnbでは、以下の「分割手数料モデル」が採用されていました。

  • ホスト手数料:約3%
  • ゲスト手数料:約14〜16%(宿泊料金に応じて変動)

この仕組みが、2025年Q4以降は次のように一本化されます。

  • ホスト手数料:15.5%(ブラジルでは16%)
  • ゲスト手数料:原則0%

つまり、宿泊者の支払う総額は変わらない一方で、Airbnbが受け取る手数料をホストがまとめて負担する形になります。Airbnbはこれを「価格表示の透明化」および「予約コンバージョンの改善」を目的としています。

2. 導入スケジュール

  • 2025年8月25日以降:新規登録ホスト(PMS連携)は自動的に15.5%モデルへ
  • 2025年10月27日:既存のPMS連携ホストが新モデルへ自動移行
  • 2025年12月1日:すべてのホストが15.5%手数料に統一

すなわち、2025年中にはすべてのAirbnbホストが新モデル下で運営することになります。

3. 宿泊施設への影響

宿泊施設の収益への影響

3-1. 収益マージンへの影響

旧モデルでは、ホストは約3%の負担だったため、1泊10,000円の予約で受け取れる金額は約9,700円前後でした。新モデルでは、15.5%の手数料が差し引かれるため、同じ料金設定では受取額が約8,450円となります。単純計算でも約13%の利益減です。

つまり、この変更を放置すると、売上は変わらなくても利益率が一気に下がる構造になります。

3-2. ゲストの購入心理への影響

Airbnbが掲げる狙いは「透明な価格表示」と「予約率の改善」です。ゲストからすれば、宿泊料金が“総額表示”に近くなり、チェックアウト画面で急に金額が増える不快感(スティッカーショック)が減少します。その結果、Airbnb全体の予約コンバージョン率は上がると見込まれます。

ただし、ホスト側にとってはその分のコストをどこで吸収するかが課題になります。

3-3. 清掃費・追加料金への課税拡大

今回の15.5%手数料は、宿泊料金だけでなく「清掃費」や「追加ゲスト料金」などを含めた総額に対して課されます。つまり、清掃料金を高めに設定している施設では、実質的にさらに高い手数料負担になる可能性があります。

4. 宿泊施設運営者が今すぐ取るべき3つの対応

① 料金設計の見直し

まず行うべきは、Airbnb上の料金設定を再構築することです。手数料15.5%を加味して、受取額を維持できる販売価格を算出しましょう。

例)現在1泊10,000円で販売している場合、15.5%手数料後に同等の収益を得るには、約11,800円に価格を設定する必要があります。

ただし単純に価格を上げるだけでは「他チャネルとの価格乖離」が発生します。そのため、PMSやチャネルマネージャーを活用し、Airbnb専用料金として自動調整を行うのが理想です。

② チャネル戦略の再考

手数料増はAirbnbだけの話です。Booking.com、Expedia、Rakuten Travel、じゃらんnetなど、他OTAとのコスト比較を再度行い、収益効率の高いチャネルを明確化しましょう。

Airbnbが提供する「ホスト手数料15.5%」は高いように見えますが、ゲスト手数料が消えることで、表示価格のわかりやすさ=予約率向上というメリットもあります。

また、OTA依存を下げるために、自社サイトの予約導線を強化することも極めて重要です。

③ 直販強化とブランド訴求

Airbnb手数料アップは「直販サイトを磨くチャンス」でもあります。自社予約であればOTA手数料を支払う必要がないため、同じ価格でも利益率が高くなります。

Archでは、宿泊施設の直販サイトを強化するために以下の支援を行っています。

  • ブランド設計・ストーリー構築
  • SEO/MEOを含む集客設計
  • 予約導線のUI最適化・コンバージョン改善
  • OTA連携を含めたチャネル戦略最適化

5. 手数料増を“価値増”で吸収する考え方

手数料上昇に対して、「値上げで対応する」以外の方法もあります。たとえば:

  • 宿泊体験のアップデート(チェックイン体験・地域体験・ホスピタリティ)
  • 宿泊プランの再設計(長期滞在割引・オフピーク価格)
  • レビュー誘導と口コミ改善による信頼度アップ
  • Airbnb内のSEO(検索上位化)最適化

単純な価格競争から脱し、「価格以上の体験」を提供することで、手数料増をカバーする戦略です。

6. 今後の展望:Airbnbの狙いと市場の動き

Airbnbがこのモデルを導入する背景には、OTA業界全体の「価格表示の標準化」があります。Booking.comも近年「総額表示」へ移行しつつあり、宿泊税やサービス料を含めた“わかりやすい価格”を求める流れが世界的に進行中です。

また、AirbnbはAIを活用したプライシング自動化や、B2B向けAPIの拡張などを同時に進めており、ホストの運営効率を高めるエコシステム化を目指しています。つまり、「手数料増=価値提供増」というモデルへの転換です。

7. Archからの提言:変化をチャンスに変える運営を

株式会社Archでは、宿泊施設のブランディングと運営の両面から支援を行っています。Airbnbの新手数料制度は、単なるコストアップではなく「ブランド力を問われるフェーズ」だと考えます。

  • Airbnbと直販サイトの料金バランス最適化
  • ホスト向けブランディング再構築
  • Web・SNSでの認知向上
  • レビュー強化・宿泊体験の質向上

手数料が15.5%になっても、「泊まりたい理由」が明確な施設は強い。
価格ではなく、体験・デザイン・世界観で選ばれる宿を一緒に作っていきましょう。

株式会社Archは、ブランディング・Web制作・OTA最適化・運営支援を通じて、宿泊施設の長期的な収益性向上をサポートしています。

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