
ホテル経営において、OTA手数料は見過ごせないコストです。Beds24やAirhostなどのPMS(プロパティ・マネジメント・システム)を自社Webサイトと連携することで、直予約率を高め、手数料を削減する仕組みを作ることが可能です。本記事では、その具体的な方法と、導入時に確認すべき要件・改修ロードマップを紹介します。
PMS連携で手数料削減を実現する仕組み
PMS(Property Management System)は、予約・客室・料金・顧客情報を一元管理する仕組みです。Beds24やAirhostといったクラウド型PMSは、OTA(楽天・じゃらん・Booking.comなど)との在庫・料金連携だけでなく、自社Webサイトへの直予約導線も構築できます。
- Beds24:API・ウィジェットを通じて自社サイト上に予約フォームを設置可能。リアルタイム在庫・料金更新、自動メール送信、チャネル管理も対応。
- Airhost:チャネルマネージャー+自社予約エンジンを一体化。AirbnbやExpediaとの連携実績が多く、スマートロックなどのIoT連携も強い。
- メリット:直予約エンジンを活用することでOTA経由を減らし、手数料負担を10〜15%削減できる可能性。
ステップ1:PMS選定と導入準備
まず、自社の運営体制に合うPMSを選び、導入計画を立てます。
- 現在使用中の予約管理方法(Excel・OTA管理画面など)を整理する
- チャネル連携が必要なOTA一覧を作成(例:楽天・じゃらん・Booking.comなど)
- PMS提供会社に「自社サイトとのAPI連携が可能か」を確認
- 料金・在庫更新の自動化フローを明確にして、運用担当を決定
ステップ2:Webサイト設計(直予約を促す導線)
- トップページ・客室ページ・プランページに「今すぐ予約」ボタンを設置
- PMSの予約ウィジェットを埋め込み、リアルタイム在庫・料金を表示
- 直予約者限定特典(例:朝食無料、レイトチェックアウトなど)を明示
- スマホファーストデザイン+高速表示を徹底
- 「公式サイトで予約するメリット」を具体的に記載
PMS連携要件チェックリスト
PMS導入・連携時に必ず確認すべき技術的・運用的要件をまとめました。事前に洗い出すことで、開発・運用コストを最小限に抑えられます。
- APIまたはウィジェット経由で自社サイトに予約フォームを埋め込めるか
- 在庫・料金・プラン内容をリアルタイムに同期できるか
- 予約データをGoogle Analytics / GA4 に送信可能か
- 決済システム(Stripe・Square等)との連携実績があるか
- 多言語・多通貨対応が可能か(英語・中国語・韓国語など)
- 既存OTA(楽天・じゃらん・Booking.com等)との自動同期が安定しているか
- 顧客情報を自動でCRM・メールマーケティングに連携できるか
- スマートロックやチェックインシステムとの統合可否
- セキュリティ(SSL通信・個人情報保護対応)が担保されているか
Webサイト改修のロードマップ
PMS連携を前提にしたWebサイト改修は、段階的に進めることでスムーズに移行できます。以下はArchが推奨する5ステップの進行フローです。
- 現状分析・要件整理(1ヶ月)
既存サイトの構造・アクセス・予約導線・SEO・PMS環境を診断。 - ブランド・コンセプト再設計(1ヶ月)
宿泊体験・価格帯・顧客層に合わせたブランド戦略を策定。→ Branding - デザイン・UX設計(1ヶ月)
直予約を誘発するレイアウト・CTA・特典訴求を設計。多言語・スマホ対応も考慮。 - PMS連携・実装(1〜2ヶ月)
Beds24やAirhostとWebサイトの連携設定を行い、動作テスト・GA4連携・決済確認。 - 運用・効果測定・改善(継続)
直予約率・離脱率・平均単価などを分析し、施策をPDCAで回す。→ SEO MEO AIO
手数料削減のための運用ポイント
- 自社サイト限定プランを定期的に更新し、OTAとの差別化を明示
- 会員制度やLINE登録特典を導入し、リピーターを直予約に誘導
- Googleビジネスプロフィールを最適化し、MEOで上位表示を狙う
- 口コミやSNS投稿をサイト内で紹介し、信頼性を高める
- 月次でOTA手数料削減額を可視化し、スタッフの意識を共有
Archが支援できること
株式会社Archでは、宿泊施設専門のブランディングとWeb制作を行っています。PMS連携設計から予約導線最適化、SEO/MEO対策、SNS運用までを一貫して支援します。
- 1000施設以上の宿泊運営実績をもとにした実践的な設計
- 直予約率58%・年間売上4000万円のヴィラ運営ノウハウ
- ブランディング、運営、マーケティングを一気通貫で支援
サービス紹介:Web Creation / Management / SNSマーケティング
まとめ
ホテルにおけるPMS連携は、単なるシステム導入ではなく「収益構造改革」です。Beds24やAirhostを自社Webサイトと連携することで、OTA依存から脱却し、長期的な利益改善につなげることができます。まずは現状のシステム環境とWeb導線を点検し、次の一歩を具体的に設計してみましょう。
▶ ご相談はこちら:https://archcorp.jp/contact/
書いた人

株式会社Arch
代表取締役 柴田敬介
1985年兵庫県生まれ。京都工芸繊維大学・造形工学科卒。建築専攻。
新卒でSMBC日興証券株式会社に入社。コンサルタントとして勤務。社内表彰を多数獲得し最年少管理職(当時)に。5年の勤務の後に起業。
2013年、株式会社XS創業。代表取締役就任。Web開発、地方創生ビジネスなどを展開。地方創生では、全国の道の駅グルメNo.1を決定するグルメグランプリを10万人規模で開催。当事業を讀賣テレビ放送株式会社に事業譲渡。
2017年、民泊事業を行う株式会社グランドゥースをAPAMAN株式会社とジョイントベンチャーにて創業。代表取締役就任。その後丸紅株式会社から出資を受け同社の持分法適用会社となる。創業3年で売上13億円、1000以上の施設を運営し、国内最大規模の民泊運営会社となる。AirbnbのBest Contributor Awardを獲得。東証への株式上場を控えていたものの、コロナウィルス蔓延に伴い事業縮小を余儀なくされる。
2023年、これまで培ってきたビジネス開発、ブランディング、Webデザイン、広告などの知見を元に、宿泊施設のブランディング、運営事業を行う当社を立ち上げ、代表取締役就任。