宿の予約は検索から始まる:ホテルのためのSEO戦略ガイド

Category: Branding | Hotel Management
Author: Shibata
Date: 2025-04-14

はじめに

OTA(オンライン旅行代理店)全盛の時代。多くの宿泊施設が集客をOTA頼りにしているのが現状です。しかし、手数料の負担、価格競争、そしてブランディングの難しさなど、依存の弊害も見え始めています。だからこそ、今あらためて注目したいのが「SEO(検索エンジン最適化)」です。

SEOは、検索から自社サイトへとゲストを導くための“資産型の集客手段”です。短期的な派手な効果は見えにくいものの、正しく積み上げていけば、OTAに頼らずとも安定した予約を自らの手で生み出すことが可能になります。

本コラムでは、ヴィラ・民泊・ホテルなど、個性ある宿泊施設に向けて、SEOを活かした自社サイトの育て方を具体的に解説していきます。


なぜホテルにSEOが必要なのか?

OTAは確かに便利です。認知度の高いプラットフォームに掲載することで、即効性のある集客が見込めます。ただしその一方で、手数料(一般的に15%前後)が利益を圧迫し、価格競争の中で施設の魅力よりも「安さ」が重視されがちになります。

また、OTAのページでは、どの施設も画一的なフォーマットに従うため、宿ごとの個性や世界観が伝わりにくいという課題もあります。そこに、自社サイトの存在意義があります。

では、自社サイトへの訪問者はどこからやってくるのか?その多くは「検索」からです。

  • 「熱海 ペット可 ヴィラ」
  • 「軽井沢 おしゃれな民泊」
  • 「赤ちゃん連れ OK ホテル 伊豆」

こうしたニーズに合った検索ワードで、自社サイトが表示されることが、予約の入口になるのです。

つまり、ホテル・宿泊施設にとってSEOとは、自社サイトへの導線を確保する=直接予約を生む第一歩といえるのです。


ホテル向けSEOの基本と構造

SEOというと、「難しそう」「専門的な知識が必要」という印象を持たれがちですが、まずは基本を押さえることが大切です。

Googleが評価する3つの視点(E-E-A-T)

Googleは、サイトの信頼性や有用性を重視しています。特に以下の4要素が評価基準とされています。

  • Experience(経験):実体験に基づく内容があるか
  • Expertise(専門性):その分野に詳しい視点か
  • Authoritativeness(権威性):信頼できる運営元か
  • Trust(信頼性):正確で安心できる情報か

つまり、「宿の実体験に基づいた生きた情報」がある自社サイトほど、SEOで評価されやすくなります。

SEOで大事なページ要素

  • タイトルタグ:検索結果に表示されるページの見出し
  • メタディスクリプション:概要文。クリック率に影響
  • 見出し構造(Hタグ):記事全体の構造とキーワード整理
  • altタグ:画像に設定する代替テキスト。アクセシビリティとSEOに効果

ホテルサイトに必要な“検索に強い”ページとは?

SEOを意識したサイトづくりでは、「施設紹介」や「予約ページ」だけでは不十分です。検索される可能性のある“情報”を網羅していく必要があります。

以下に、特に効果のあるページ構成の例を挙げます。

よくある質問(FAQ)ページ

「子ども用アメニティはありますか?」「チェックイン前に荷物預かりできますか?」といった質問は、実際に検索されるキーワードにもなっています。

季節ごとの過ごし方ページ

春夏秋冬の楽しみ方を、写真とともに紹介。検索ワード:「夏 軽井沢 ヴィラ」「秋の紅葉 民泊」など。

周辺観光ガイドページ

「この宿に泊まったら何をするか?」を具体的に提案できるページ。検索ワード:「伊豆 観光 子連れ」など。

コンセプト・ストーリー紹介ページ

「なぜこの宿を始めたのか」「どんな体験を提供したいのか」など、宿の“物語”を伝えることで、滞在意欲を高めると同時にSEO評価にも貢献。


宿泊施設が狙うべきSEOキーワードの考え方

SEOにおけるキーワード選びは、「集客の質」を決める重要な工程です。

「エリア × ニーズ」の掛け合わせを意識

  • 「那須高原 ペット可 ヴィラ」
  • 「箱根 赤ちゃん連れ ホテル」
  • 「淡路島 サウナ付き 宿泊」

このように、単なる地名や業態だけでなく、検索者の目的・条件を意識したキーワードを設定することがポイントです。

キーワードを探す方法(初心者向け)

  • Google検索窓にキーワードを入れたときのサジェスト(自動補完)
  • 検索結果の一番下に表示される「関連検索ワード」
  • Yahoo!知恵袋や教えて!gooなどQ&Aサイトにある実際の質問

こうした“現場の声”にヒントがあります。


SEOを活かすコンテンツ運用のコツ

SEOは一度設定して終わり、ではありません。検索上位を維持するには、定期的な更新や新規コンテンツの追加が不可欠です。

ブログ・お知らせ・コラムの活用

  • 「地元の春祭りに行ってきました」
  • 「お客様の声:ペットと泊まれる宿を探して」
  • 「冬の過ごし方:暖炉とこたつのあるヴィラステイ」

こうした“日々の出来事”が、実は検索ワードの宝庫です。

SNSとの連携も鍵

ブログやコラムの内容をInstagramやX(旧Twitter)でシェアし、検索される導線とSNS上のファンをつなげる戦略が有効です。


SEO対策の成果が出るまでと運用の考え方

SEOは短期で結果が出る広告とは違い、じっくり育てるタイプの集客です。

  • インデックス(Googleへの登録)に数週間〜数ヶ月
  • 検索順位の安定には数ヶ月〜半年

だからこそ、焦らず「月に1記事でもコツコツ続ける」姿勢が重要です。

内製と外注のバランス

  • 自分たちでネタを出して、外部のライターに文章化してもらう
  • 投稿は自社、校正やSEO設定は外注

予算と時間に合わせて“続けやすい運用設計”を。


おわりに

SEOは魔法ではありません。派手さも即効性もありません。けれど、「自社サイトが見つけてもらえる状態をつくる」という意味では、最も地に足のついた集客戦略のひとつです。

ヴィラ、民泊、ホテル──どんな業態であれ、「この宿、いいな」と思ってくれた人が、検索でたどり着けるサイトであること。それが自社予約の第一歩になります。

私たちは、宿泊施設専門のブランディング・制作パートナーとして、SEO設計からサイト制作・運用までトータルで支援しています。SEOを味方につけて、「予約につながる宿」を一緒につくっていきませんか?

Mail Magazine

宿泊施設の売上アップ施策、ブランディング事例や、観光業界の市況など、宿泊施設運営に役立つ情報を定期的に配信します。

Contact Us

宿泊施設のブランディング、OTA関連施策、マーケティング、各種制作から施設運営まで幅広く対応可能です。
お気軽にお問い合わせくださいませ。

Contact