Category: Branding | Hotel Management
Author: Shibata
Date: 2025-04-07
「SNSをもっと活用したいけれど、何を投稿すればいいのかわからない」「更新が途切れてしまって効果を感じられない」──。そんな宿泊施設の声を私たちは数多く聞いてきました。
InstagramをはじめとするSNSは、もはや集客のための“おまけ”ではありません。宿の世界観や空気感、そこに流れる時間を伝え、「泊まってみたい」と思わせるためのメインのメディアになっています。
このコラムでは、SNS運用がうまくいっていない、またはこれから始めたいと考えている宿泊施設の方向けに、実際に効果が出ている戦略や、日々の運用に役立つ“ネタ設計”の考え方を紹介していきます。
宿泊施設がSNSを活用する意味は、単なる「宣伝」ではありません。OTAや公式サイトでは伝えきれない、その場所の空気、光、音、そして人。そうした「宿の個性」を最も自然に、かつリアルに伝えられるのがSNSです。
最近では「宿を探すときにまずInstagramで検索する」というユーザーも増えています。Google検索やOTAで見つけた施設を、Instagramで調べて「どんな雰囲気か」「誰が来ているのか」「最新の情報があるか」をチェックしてから予約する。そんな動きが当たり前になっています。
つまり、「SNSで見たことある」という印象は、そのまま「信頼」「安心感」「ブランド力」につながるのです。
SNS、とくにInstagramの運用で最初に考えるべきは、「誰に」「何を」「どんな印象で」届けたいかという軸です。
ターゲットを定める
ファミリー層、カップル、ワーケーション需要、海外旅行者、ソロ旅好き…など、ターゲットが変われば伝えるべき情報も変わります。
投稿の目的を明確に
・世界観を伝える
・新規層に認知してもらう
・自社予約を促す
・リピーターとの関係を深める
どれを主軸にするかで、投稿のトーンや内容が変わってきます。
アカウント設計
・プロフィール文には「どんな宿か」「どこにあるか」「何が強みか」を明記
・ハイライトには「部屋紹介」「アクセス」「Q&A」などを用意
・位置情報は必ず設定して、地図・検索との連携を意識
投稿カテゴリの設計
投稿は次の3タイプに分類するとバランスよく発信できます。
・魅せる投稿:ビジュアルで惹きつける(外観、部屋、料理など)
・伝える投稿:コンセプトや想いを言語化(文章中心でもOK)
・つながる投稿:お客様の声、コメント返し、Q&A投稿など
これらをバランスよく繰り返すことで、アカウント全体に「人の気配」が宿ります。
「今日は何を投稿しよう…」と毎回考えるのは非効率です。
あらかじめカテゴリごとに投稿ネタを整理しておけば、ネタ切れに悩まず運用できます。
投稿ネタのカテゴリ例
・施設紹介
- 客室(時間帯別に撮影)
- アメニティ紹介
- 共用スペースや外観
・体験紹介
- 滞在中の過ごし方モデルケース
- 焚き火やサウナなどのコンテンツ体験
- 食事のシーンやこだわり
・人の気配
- スタッフやオーナーの紹介
- お客様の声・体験談
- 掃除・準備・裏方の様子
・地域との関係
- 周辺のカフェ・飲食店
- 地元イベントの紹介
- 提携しているアクティビティ事業者
・季節感
- 季節ごとの風景や草花
- 天気の変化(雪、夕日、霧)
- 季節限定の過ごし方
ネタ出しのポイント
カテゴリごとに毎月1〜2本投稿すると決めておけば、1ヶ月で10本ほどの投稿案が自動的に生まれます。
また、写真や動画は1回の滞在で複数のシーンを撮り溜めしておくと便利です。
「SNS=映える写真」だと思い込む必要はありません。
むしろ、大事なのは「宿らしさ」が一貫して伝わること。
ビジュアルの統一感
・フィルターや色味、トーンを揃える
・写真の余白感や構図に宿の「空気」を写す
・ロゴや公式サイトとテイストを合わせることで、ブランド全体の印象が統一される
トーンの作り方
・高級感のあるヴィラなら静けさや光の美しさを強調
・民泊なら「暮らすように泊まる」「人の温もり」を前面に
・地元とのつながりや自然との共生も、宿の「人格」として伝える
派手な演出よりも、「その宿にしかない静かな魅力」をどう切り取るか。
それが、記憶に残るアカウントをつくるコツです。
「更新が止まりがち」「忙しくて手が回らない」という声は非常に多いです。
でも、完璧な運用は必要ありません。
仕組み化のポイント
・投稿予定をGoogleカレンダーやスプレッドシートで管理
・ネタ・素材をストックするフォルダを作成
・撮影・編集・投稿の流れをテンプレ化
外部リソースの活用も視野に
・社内にSNS担当者がいない場合、スポットで外注する手もあり
・文章作成だけ、写真だけなど、部分的な依頼も可能
「完璧」を目指さない
・反応が少なくても気にしない
・投稿の目的(認知/記録/関係づくり)を思い出す
・月に2〜3本でも、続けることが最大の価値になる
「この宿、Instagramで見たことある」
このひと言が、予約に至る「最初の扉」になっている時代です。
だからこそ、難しく考えすぎず、自分たちのペースで、「宿のらしさ」を発信していくこと。
それが、じわじわとファンを増やし、「また来たい」を生み出す力になります。
私たちは、宿泊施設のブランディングやSNSの運用設計、投稿ガイドラインの制作などもサポートしています。もし「何から始めたらいいか分からない」という場合は、お気軽にご相談ください。
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