Category: Hotel Management | Business
Author: Shibata
Date: 2025.10.28

2025年5月30日をめどに、大阪府が管轄する29市町村が特区民泊の新規申請受付を停止する方針を固めました。特区民泊とは、国家戦略特区内で旅館業法の規制を一部緩和し、マンションや戸建てでも宿泊営業を可能にした制度です。大阪市を中心に全国の約9割にあたる6,800件超の施設が集中していましたが、騒音・ゴミ出し・マナー違反などの苦情が相次ぎ、規制強化の流れとなりました。
今回の決定により、特区民泊の新規開業は大幅に制限され、今後はより安定した「旅館業法に基づく宿泊運営」への移行が進むと見られます。これまで民泊を中心に運営していた事業者にとっては、旅館業許可や簡易宿所許可への転換を検討するタイミングになるでしょう。地域との共存や法令遵守を前提とした“平時の宿泊運営”が求められる時代に移り変わっています。
一方で、東京都内ではすでに規制の厳格化が進んでおり、墨田区などでは既存の民泊施設に対しても運用が実質的に難しくなるほどの規制が課されています。過去に取得した許可に対して遡及的な制限を設けることは法的にも慎重に扱われる領域ですが、自治体判断によって運営環境が大きく変化するケースも見られます。
その点で、大阪の特区民泊に関しては、既存の許認可を得ている施設は引き続き運営が可能とされており、これは運営者にとって安心材料といえます。「新規参入は難しくなるが、既存施設は守られる」——この構図が今後の大阪エリアの宿泊市場を大きく左右していくでしょう。

新規受付が停止される一方で、すでに認可を得て営業中の施設は、今後ますます希少価値を高めることが予想されます。特に法人として許可を取得している場合、その法人自体をM&A(事業譲渡や株式譲渡)することで、間接的に特区民泊の運営権を承継するといった動きも出てくるかもしれません。ただし、許可そのものの譲渡は制度上難しいと考えられるため、法的リスクや手続きには慎重な検討が必要です。
また、規制の厳格化に伴い市場から撤退する事業者も増えることが想定されます。結果として、既存の認可施設の資産価値やブランド価値が相対的に上昇する可能性もあります。今後は「運営 × ブランド × 不動産価値」を統合的に見直す視点が欠かせません。
制度頼みの運営から脱却し、ブランド力と運営品質で選ばれる宿泊施設へシフトしていくことが求められます。騒音やゴミ問題を防ぐチェックイン設計、長期滞在・グループ利用に配慮した空間設計、地域住民との共存体制など、宿泊体験の質こそが競争力になります。
また、OTA(Airbnbなど)頼みの集客ではなく、自社サイトやSNSを活用したダイレクト予約の強化も重要です。当社では、実際に自社予約率58%を達成したヴィラ運営実績があり、民泊・ホテル・旅館といった形態を問わず、ブランディングと運営の両面から支援を行っています。
法規制は年々厳格化していますが、その一方で「安全・快適・地域と共存する宿」には追い風が吹いています。民泊、簡易宿所、旅館業など、適切な制度の中でブランドと運営を両立させることが、これからの宿泊ビジネスの鍵となります。
株式会社Archでは、施設ブランディングからWeb制作、運営改善までを一気通貫でサポートしています。制度変更の波をチャンスに変え、長く愛される宿泊ブランドを共に築いていきましょう。
参考:読売新聞オンライン(2025年10月25日配信)
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