Category: Hotel Management
Author: Shibata
Date: 2026.05.09

こんにちは。株式会社Arch代表の柴田敬介です。私はこれまで、建築学部を経て金融機関で勤務、その後3社の創業と売却を経験してきました。宿泊領域においては、全国1000施設以上のホテルや民泊の立ち上げ・運営し、Airbnbでの受賞歴(Best Contributor Award)や上場企業での合弁企業設立など、実務を重ねてきました。現在は渋谷を拠点に、株式会社Archにて宿泊ブランディング、WEB制作、不動産仲介、M&Aを支援しています。
本日は、ホテル、旅館、ヴィラ、民泊などの宿泊施設を運営されている皆様に向けて、利益改善と収益最大化のための具体的なソリューションをお話しします。
インバウンド需要の急速な回復により、観光地や都市部には多くの外国人観光客が訪れています。しかし、現場の運営者様とお話しすると、「稼働率は戻ったが、手元に残る利益が少ない」「人手不足で提供できる客室数を制限せざるを得ない」といった悩みを頻繁に耳にします。売上が上がっているように見えても、水面下で「見えない機会損失」が生まれているケースが多いと感じています。
現在、宿泊業界を最も苦しめているのが、光熱費やリネン費用の高騰と、人材不足です。特に清掃スタッフやフロントスタッフの確保は困難で、採用コストや人件費は年々上昇しています。
客室の清掃が追いつかないために、本来販売できるはずの部屋を「売り止め」にしている施設も少なくありません。これは、その日の売上を逃すだけでなく、将来のリピーターとなるはずだった顧客との接点を失うことになります。固定費がかかる宿泊ビジネスにおいて、販売可能客室数を最大化できないことは、利益率を大きく圧迫してしまいます。
もう一つの大きな課題が、OTA(Online Travel Agent:宿泊予約サイト)への依存です。Booking.comやAgoda、じゃらん、楽天トラベルなどのプラットフォームは、集客において非常に強力なツールですが、通常15%〜20%という高額な送客手数料が発生します。
例えば、月間1,000万円の売上がある施設で、そのすべてをOTA経由で獲得している場合、毎月約150万円〜200万円が手数料として流出している計算になります。年間では2,000万円以上の利益が失われていることになります。初期の集客チャネルとしてOTAを活用することは必須ですが、長期的な利益改善を目指すのであれば、OTA依存から脱却し、利益率の高い独自の集客ルートを開拓することが急務となっています。
宿泊施設の収益を改善するためには、感覚的な運営から脱却し、データに基づいた改善が不可欠です。ここでは、日々のオペレーションで常に意識すべき重要な指標と、それを用いた戦略について解説します。
宿泊ビジネスの収益性を測る上で、絶対に外せない専門用語が2つあります。それが「ADR」と「RevPAR」です。
多くの運営者は「稼働率(どれだけ部屋が埋まったか)」を重視しがちです。しかし、無理な値引きを行って稼働率を100%にしても、ADRが極端に低ければ利益は残りません。逆に、ADRを高く保つことで、稼働率が70%でも、満室時以上の利益を叩き出すことが可能です。清掃コストやアメニティの消費も抑えられるため、利益率はさらに向上します。
収益を最大化するには、RevPARを指標の軸に据え、需要に応じて柔軟に価格を変動させる「ダイナミックプライシング」の導入が必須です。周辺の競合施設の価格、地域のイベント情報、過去の予約ペースなどをAIや専用ツールを用いて分析し、1日単位、時には数時間単位で最適な価格を設定し続ける緻密なコントロールが求められます。
もう一つ、長期的な利益を生み出すために重要な指標が「LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)」です。LTVとは、一人の顧客が、初回利用から現在に至るまでの期間に、施設に対してどれだけの利益をもたらしたかを算出する指標です。
宿泊業におけるLTVの向上は、「いかにリピーターを獲得するか」に直結します。一度宿泊していただいたお客様に対し、メルマガや公式LINEを通じて地域の魅力的な情報や限定プランを継続的に発信し、次回の直接予約へ誘導します。LTVの高い顧客を増やすことは、新規顧客を獲得するためのマーケティング費用やOTA手数料の削減に繋がります。
老舗旅館や長年運営されているホテルにおいて、「施設が古くなったから価格を下げざるを得ない」と考えるのは早計です。歴史や伝統、地域に根ざしたストーリーは、新築のホテルには決して真似できない資産になります。それを現代のニーズに合わせて表現し、価値を最大化するプロセスが「リブランディング」です。
リブランディングの第一歩は、施設のコンセプトを根本から見直すことです。「誰に」「どのような価値を」提供する施設なのかを明確に定義し直します。
例えば、「古い温泉旅館」を、「日本の伝統建築の美しさと、快適な環境を融合させた、大人のための空間」へと転換します。ターゲットを「価格重視の団体客」から「体験価値を重視するインバウンドの富裕層」や「日常の喧騒から離れたい都市部のカップル」へとシフトさせていく必要があります。
建物自体の改修には大きな資金が必要ですが、ソフトウェア(サービス内容、アメニティの質、照明の工夫、料理の見せ方)の改善であれば、比較的少ない投資で劇的な変化を生み出すことができます。
コンセプトが固まったら、それをターゲット顧客へ正確に届けるための「自社WEBサイト」の構築が重要になります。ここでは当社の専門領域であるWEB制作とデザインの力が活きてきます。
OTAの画一的なページでは、施設の持つ独自の魅力や空気感を十分に伝えることは不可能です。リブランディングの成功は、高品質なWEBサイトを用意できるかどうかにかかっています。
直予約を推進するWEBサイトには、以下の要素が不可欠です。
質の高いWEBサイトは、24時間365日休むことなく働くシステムとなります。初期費用はかかりますが、OTA手数料の削減分を考慮すれば、多くの場合数ヶ月から1年程度で投資回収が可能です。
戦略的な価格設定とリブランディングによる集客が軌道に乗った後は、増大する需要を限られた人員でいかに捌くかというオペレーションの効率化が鍵を握ります。ここでは、当社が得意とするAI活用とIT技術による現場の改善策をお伝えします。
清掃業務は宿泊ビジネスにおける最大のボトルネックになり得ます。ここを最適化するために、清掃管理のDXを進めます。
クラウド型のPMS(プロパティ・マネジメント・システム)と清掃管理アプリを連携させ、チェックアウト状況をリアルタイムで清掃スタッフのスマートフォンに共有します。これにより、フロントからの連絡待ち時間を排除し、効率的な清掃ルートの構築が可能になります。また、スマートロックを導入することで、物理的な鍵の受け渡し業務をなくし、フロント業務を大幅に省人化・無人化することができます。
急増するインバウンド顧客への対応において、言語の壁はAIを活用することで容易に乗り越えられます。公式WEBサイトへのAIチャットボットの導入により、英語、中国語、韓国語などでの「駐車場はありますか?」「アレルギー対応の食事は可能ですか?」といった頻出する問い合わせに、AIが24時間自動で回答します。これにより、スタッフの負担を激減させながら、顧客満足度を向上させることができます。
また、宿泊ビジネスを取り巻く法律(旅館業法、住宅宿泊事業法など)は常にアップデートされています。特に民泊新法下での運営や、フロントの無人化要件などは、自治体によって条例が異なるケースが多々あります。我々Archでは、不動産仲介から運営管理までワンストップで手掛けている強みを活かし、最新の法令に完全に準拠した上で、最も収益性の高い運営スキームを構築・提案しています。
宿泊ビジネスの収益最大化は、コストカットや一時的なキャンペーンだけでは実現できません。本質的な価値を見極めるリブランディング、データに基づいた緻密な価格戦略(ADR/RevPARの最適化)、WEB技術を駆使した直予約の獲得、そしてAI・ITを活用したオペレーションの徹底的な効率化。これらを複合的に実行する必要があります。
日本の宿泊施設が持つ歴史やホスピタリティは、素晴らしいコンテンツです。その価値を正しく評価し、適切なターゲットへ届け、確かな利益へと変換していくこと。それが、日本の観光産業をさらに高い次元へと引き上げ、次世代へ継承していくための唯一の道だと考えています。
現在、株式会社Archでは、宿泊施設のリブランディングに伴う高品質なWEB制作をはじめ、不動産の有効活用、さらには事業承継を見据えたM&Aのサポートまで、経営者様のあらゆる課題に対するコンサルティングと実務支援を提供しております。金融的視点での収益性評価と、デザイン・IT技術を融合させた、他社には真似できない本質的なアプローチを行っています。
自社施設の潜在価値を最大限に引き出したいとお考えの運営者様は、ぜひ一度、私たちArchにご相談ください。
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皆様からのご連絡を心よりお待ちしております。
宿泊施設のブランディング、OTA関連施策、マーケティング、各種制作から施設運営まで幅広く対応可能です。
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